喉を開いて喉声を治す方法。そして喉を開いた状態で高い声を発声する方法。

こんにちは。
ChihiRoボイス・ボーカルスクールのChihiRoです。

もう12月、一年は早いものですね。
今日は喉声を治す方法。喉を開いて歌う方法について解説していきたいと思います。

ボイトレに通われる生徒さんを見ていると、喉声を解消すると言うのはボイトレ業界では永遠のテーマだと感じています。

おそらく、ボイトレに来る方の9割は喉声です。
これは歌でも話し声でも同様で、特に歌の場合キーが高くなればなるほど喉が閉まってきて喉声になり喉への負担が大きくなってしまうのです。

人によっては喉声を克服して流暢に歌えるようになるまで10年かかる人もいます。
YouTubeの動画でもボイトレのノウハウ系では1番再生されており、私の動画では100万再生を超えているほど、悩まれている方がとても多いのだと実感しております。
それを考えるとボイストレーナーをつけて練習しないと喉声を治すのはなかなか難しいと考えておりますが、
今回はできる限り自主練でできる喉声解消法についてご紹介していきたいと思います。

【①顎を45度上げて口を開く】
とてもシンプルです。
肩や胸をリラックスをして顎を45度程度上げて口を開くだけ。これだけで喉は開いた状態になります。
試しにその状態で「あーーー」と声を出してみて下さい。
そして顎を元に戻した状態でも声を出してみるとその違いが明確に分かるはずです。
この状態で歌うと喉を開いた状態をキープできるので是非試してみて下さい。

【②息を吸う時はあくびで息を吸う】
これもシンプルです。
息を吸う時、軽いあくびをする時のように喉を開いて吸って、その喉の状態のまま発声しましょう。
この時の注意点としては本当に100%あくびで息を吸おうとするとリアルなあくびが出てしまいますし、声が野太くなってしまいますので、
あくまでも声は自然にまっすぐに出すこと。
やりすぎるとオペラ歌手のように図太い声になったり、声が奥まって籠ってしまいます。
あくまでもあくび喉は軽く作って声は普段通り発声します。

①と組み合わせて発声しても良いでしょう。

ちなみに、歌う時だけ喉を開こうとすると喉の動きが間に合わず喉が閉まってしまうことがあります。
ではどうすれば良いか。
それは声を出す前、息を吸う時から開くこと。
息を吸う時に既に喉が開いていると、常に喉の準備が整った状態で発声することが出来ます。
そのため、息を吸う時に軽いあくびをするように吸って発声することで、喉を開いた状態で発声出来るのです。

【③割り箸を奥歯で噛んだ状態で発声する】
①でも②でもコツが掴めない場合、割り箸を使いましょう。
使い方は簡単です。
割り箸を割って2本にし、それぞれ左右の奥歯で噛むのです。
その状態で発声すると通りの良い声が出ます。

これは強制的に喉が開かれるため、息や声の通り道が確保できるからという理由と、
口を開く力とは真逆の、歯と歯が合わさる方向に筋肉が動くため余計な力が加わりにくいという理由にあります。

【④母音の舌の位置を整える】
これはあまり聞き馴染みがないかもしれません。
舌が上がってしまうと、声の通り道を邪魔してしまい、結局喉声になってしまう場合があります。
これ実は結構多いです。
あくびの喉作ってるのに何故かうまく声が出せない、といったケースなど。

ちなみに男性の場合は喉仏が下がると喉が開くなんて言いますが、女性の場合は喉仏の位置がよく分からないことも多いのです。
その場合、舌を正しい位置に整えるだけで喉を開くことが出来るのです。

確認するべきは母音「あいうえお」の舌の位置。
この5種類の舌の位置を整えることで、他の言葉の声の通りも改善されます。

《「あ」の舌の位置》
まずは「あ」
「あ」の舌の位置を確認しましょう。
・舌の先が、舌の歯の裏側あたりに納まること。
・舌の奥から舌の先まで滑り台のように滑らかに降りてきていること。
・舌全体、舌の歯よりも上に上がらないようにする。

《「い」の舌の位置》
・舌の先が、舌の歯の裏側あたりに納まること。
・舌の両端が上の歯に軽く触れ、舌の真ん中は息の通り道が出来ていること。

《「う」の舌の位置》※唇は窄めるが、舌の位置は「あ」と同じ。
・舌の先が、舌の歯の裏側あたりに納まること。
・舌の奥から舌の先まで滑り台のように滑らかに降りてきていること。
・舌全体、舌の歯よりも上に上がらないようにする。

《「え」の舌の位置》
・舌の先が、舌の歯の裏側あたりに納まること。
・舌の真ん中あたりは盛り上がるが、奥側は下げる。

《「お」の舌の位置》※唇は窄めるが、舌の位置は「あ」と同じ。
・舌の先が、舌の歯の裏側あたりに納まること。
・舌の奥から舌の先まで滑り台のように滑らかに降りてきていること。
・舌全体、舌の歯よりも上に上がらないようにする。

以上です。
文章で書くと硬い表現になりますが、実際やってみると意外と出来ているかもしれませんが
是非一度チェックしてみて下さい。
この舌を基準にしていただくと喉が通りやすくなります。
注意点としては、やろうと意識しすぎて舌を力まないようにしましょう。

【⑤子音の発音の後の母音を明瞭にする】
要するに母音がはっきり聞こえないケース。
例えばMISIAさんの「アイノカタチ」の場合、「あのね いつの間にか 気づいたんだ」というフレーズの場合、
大袈裟に言うと「あおね いすのまにくぁ きざいてんだ」のように聞こえてしまうような感じです。
母音が明瞭でないがために言葉が舌足らずぽく聞こえてしまうのです。
わざと英語っぽく発音して母音を目立たせなくする歌唱法もありますが、基本的には母音は明瞭に歌うとかっこいいのですが、
実はこれが原因で喉声になってしまっている方は意外と多いので、一度録音などでセルフチェックしてみて下さい。

そもそも母音が苦手な方は④に戻って母音の舌の位置を整えて喉を開いた状態で発声出来るようにしましょう。

【⑥喉を開いた状態で高い声を発声する方法】
最後に、生徒さんの悩みで1番多いものがこれ。
高い声で喉が閉まってしまうというもの。
そもそも人間の生理現象として、音が高くなるにつれて喉は閉まってきてしまうものです。

高音域は低音域・中音域と比べ、喉を開く力がより必要になるということです。
ただでさえ喉声に悩んでるのに、さらに高音なんて綺麗に出せるわけないじゃん!とお思いの方、安心して下さい。
多少の積み重ねは必要ですが、今日でさよならしましょう。

低音域、中音域あたりは①〜⑤を実践していただければほとんど治ります。リラックスしている状態でも声が楽に出せます。
むしろリラックスしていなければなかなか綺麗に出すことが出来ない音域なのです。
しかし高音域は事情が少し違いパワーが要ります。
では何のパワーか。

高音になるにつれて喉が閉まってきてしまう。
ということは高音になるにつれて「喉を開く力が必要」ということです。
喉は脱力することが大切。しかしそれは厳密にいうと閉める力はNGですが、「喉を開く」力はOK。
高音になるにつれて喉をより開いていこうとしなければいとも簡単に今まで通りの喉声に戻ってしまいます。

低音域や中音域はがんばらなくても喉を開くことは出来ますが、高音は意図的に喉を開くように意識しなければならないということです。
高音になるにつれて所謂「あくび力」は必要なのです。(地声の発声の場合)

いかがでしょうか?
単に喉を開くというだけであればそんなに難しいことではありませんが、歌や話し声に活かすということを考えると最初慣れるまではかなり意識しなければなりません。
良い意味での癖づけをしていって通る声、高い声を綺麗に出せるよう是非習得していただけたらと願っています。

 

 

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